この記事は中小企業診断士の2次試験の結果が、望んだ結果にならなかった方に向けて書いています。
より具体的には、
- 2次試験に落ちてしまったが、翌年も中小企業診断士を目指すか悩んでいる
- 目指すなら、1次試験からやり直しになるがモチベーションが上がらない
- もはや2次試験に受かる気がしない、何が足りないのか分からない
そういった思いを抱えている受験生の皆さんに向けた記事です。
2020年(令和2年)に中小企業診断士2次試験に合格し、いまは企業内診断士として、会社勤めと並行して、副業で平均月10万ほど稼いでいます。
また副業の一つとして、ある受験校で年間100枚以上の2次試験の答案を採点していますが、本当に様々な答案に出会い、傾向が分かってきました。
僕自身も、2019年にやっとの思いで一次試験を合格しましたが、その年の2次試験に不合格となり、
「全然受かる気がしない・・・何を取り組めばいいのか」
「暗記系科目もまた勉強して一次試験受けなきゃいけないのか」
と絶望に暮れました。
そんなところから、考え試行錯誤し、再度2次試験に挑戦・合格し、いまがあります。
その経験を生かし、本記事では、「2次試験に落ちたら考えたいこと」を紹介していきます。
受験生の何かの役に立てばと思います。それではいきましょう。
再チャレンジを目指すか、諦めて別の道を選ぶか
まず最初に考えていただきたいのは、「次回も中小企業診断士を目指すのか」です。(当たり前ですみません)
御存知の通り、決して負荷が軽い試験ではないです。
8月の一次試験、そして年末の2次試験と、それらをクリアするために一年を捧げると言っても過言ではありません。
2次試験までたどり着いた方ですから、すでにかなりの勉強量を積み上げた方だと思います。
まずここまでの努力ができる社会人であること自体が、非常に価値があり、褒め称えられるべきです。
ご自身の努力を、自分自身で称えてあげてくださいね。
その上で、改めて「中小企業診断士を目指す目的」に立ち返ってみていただきたいのです。
中小企業診断士を目指す目的は?
「あなたはなぜ中小企業診断士を目指すのですか?」
実を言うと、受験生時代の僕はこの問いにうまく答えられませんでした。
正確に言えば、「中小企業診断士の勉強をする目的」は明確でしたが、「診断士という形式的な資格を取る目的」が明確ではなかったのです。
実際、中小企業診断士協会の調査 (令和3年)でも、「中小企業診断士資格取得の動機は?(複数回答)」という問いには、「自己啓発やスキルアップ」が61.7%と最多回答となっています。
「自己啓発やスキルアップ」は形式的な資格を取らなくても、勉強するだけである程度満たせます。
当時の僕は、2次試験の勉強をある程度終えた状態で、一旦の満足をしてしまってました。
診断士の資格はなくても副業も転職もできる
また中小企業診断士の取得目的として、「転職や副業」を挙げる方も多いと思います。
しかし考えてみれば、「転職や副業」も診断士の資格がなくてもできますし、取得したから必ずしもうまく行きやすくなることもないです。
同様に、中小企業診断士協会の調査 (令和3年)によると、取得後の勤務先や関係先からの評価は、「変化がなかった」が最多となっています。
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資格があることが確かな自信に繋がる
では、資格を取る価値はどこにあるのでしょうか?
中小企業診断士に合格してから数年経ち、僕が考える価値は、「資格を持つことで自信に繋がる」点です。
資格取得前は、経営陣や取引先と話す際に、どこかで以下のような不安を持ってました。
- 知識不足で話についていけないのでは
- 能力不足で迷惑を掛けるのでは
ただ、それが資格を取得してからは、「国家資格である診断士に受かるくらいの知識や能力はある」と、自分に自信を持って話すことができるようになりました。
もちろん不足面があることは多々あるのですが、「それは(診断士試験に出てくるようなベーシック論点ではない)専門領域の話なんだ、あとでキャッチアップすれば良い」と割り切れるようになりました。
これが、僕が中小企業診断士の資格を取ったことによる、一番の効能です。
戦略的撤退も勇気ある意思決定
それぞれの方によって、中小企業診断士という資格を目指す理由は様々だと思いますが、改めて目的を整理した上で、次回も診断士試験を目指すのかどうかを考えてみてください。
もちろん「目指さない、諦める」という戦略的撤退も、勇気のある意思決定だと思います。
人生の限られた資源である「時間」を、別の価値あるものへ配分できるのですから。
では、ここからは次回も目指す方へ向けて、書きます。
1次試験から再受験される方へ
基本は過去問対策でOK
次回は、全科目もしくは一部科目を一次試験から受け直す必要がある方へ。
一度は全科目を合格している方ですから、過度に不安がる必要はないと思います。
基本的は、過去問を再度やり直せば、問題ないです。
ただ注意が必要なのは、法改正等で内容が変わる、暗記科目系です。
法務・情報システム・中小企業経営政策は学び直しを
厄介なのは、「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・政策」の暗記科目三兄弟です。
これらは法改正や時代変化によって、内容が変わりますので、必ず最新テキストで学び直すのをおすすめします。
ただ暗記系科目のテキストはボリュームが多いので、各予備校やオンライン講座などで、単科目だけ購入し、頻出ポイントだけ押さえて受講するのが、一番効率が良い と思います。
オンライン講座のスタディングだと、一科目14,300円でまるっと対策できるので、コスパがよいです。(TACだと一科目50,000円ほど)
またオンライン講座であれば、倍速再生も可能ですし、気になる論点だけ確認することも可能です。
もちろん自分でテキスト買って、一から整理するのもよいですが、一度一次試験を合格されてるみなさんです。
暗記科目はポイントだけ抑えて、あとは主要理論科目や2次試験対策に時間を使いましょう。
財務会計・企業経営理論・運営管理は2次試験を意識して確認を
「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」は2次試験に直結する科目ですので、一次試験対策を特別にしなくても大丈夫だと思います。
逆に知識が曖昧な方は、この機会にしっかり復習しておきましょう。
どのテキストでも構いませんが、おすすめはTBCの速習テキストシリーズです。
TACのスピードテキストと比べても、細かい論点まで網羅されており、2次試験の勉強にも役に立ちます。
また動画講義も無料でYouTubeで見れるので、独学でも進められます。苦手な論点だけピンポイントで学び直すのもアリですね。
僕は受験生終盤は、辞書代わりに使っていました。
後述しますが、2次試験はより深い理論への理解が問われますので、単純な暗記はもちろん、「どうしてそうなるのか」まで抑えておいてくださいね。
2次試験を再チャレンジする方へ
では次に、1次試験は問題なく、2次試験に再挑戦される方向けに書きます。
再チャレンジを目指すなら今の力を分析することが大事
まず大事なのは、今の力を冷静に分析することです。
ここを間違えると、合格まではかなり遠回りになります。
足りないのは基礎知識か、文章構成力か
2次試験に落ちたあなたに足りないのは、知識でしょうか?文章構成力でしょうか?もしくは両方でしょうか?
あなたはどちらに当てはまりますか?
2次試験には、この「知識」と「文章構成力」の両方が必要となります。
先ほど紹介したTBCの提唱する「自己分析メソッド」が分かりやすいので、引用します。(動画の一部をキャプチャ)
参考)動画のフルバージョンは、以下から誰でも視聴できますので、ぜひ御覧ください。(12:34ごろから自己分析メソッドの紹介)
多くの受験生に足りないのは基礎知識
そう思った受験生が多いのではないでしょうか。
.........。
...........................。
甘いです。
僕は様々な受験生の答案を採点してきましたが、6-7割の答案が知識不足が原因で、合格に至る答案が書けていないと感じます。
答案に盛り込むべきキーワードがうまく使えてなかったり、間違って使っていたりというケースです。
2次試験で求められる基礎知識のレベルとは
たとえば、事例Ⅰで言えば、これらの問にパッと空で応えられるでしょうか?
- アンゾフの成長戦略について、縦軸横軸含めて正しく書けますか?
- 同族経営のメリット・デメリットをそれぞれ複数挙げられますか?
- 中途採用のメリット・デメリットをそれぞれ複数挙げられますか?
- 衰退市場における競争戦略のセオリーは?
どれも最近の診断士試験で問われたテーマですね。
このようにあるテーマに対して、時間のない2次試験の中で、与件文章を読みながらパッと思い出せるかが大事です。
たとえば、令和4年の事例Ⅰの与件文を見てみると、
A 社は、戦前より代々、家族経営で水稲農家を営んできた。69 歳になる現経営者は、幼い頃から農作業に触れてきた体験を通じて農業の面白さを自覚し、父親からは農業のイロハを叩き込まれた。当初、現経営者は水稲農業を引き継いだが、普通の農家と違うことがしたいと決心し、先代経営者から資金面のサポートを受け、1970 年代初頭に施設園芸用ハウスを建設して苺の栽培と販売を始める。
この2文を読んだだけで、今回の事例は「同族経営」であることが分かってきますよね。
その時点で、「同族経営のメリット・デメリット」がどこかで問われるor考慮する必要あることを察して、与件文章の横に「同族経営のメリット・デメリット」を走り書きできますか?
これを少し考えて出すというよりは、瞬間反射的に思い出せるのが理想です。
基礎知識が不足している方へ
「正直、このレベルでは知識が出てこない」という方は、急がば回れで、一次試験の知識を復習することをおすすめします。
おすすめは、同じくTBCの「速修2次テキスト」の末尾にある「抽象化ブロックシート」です。
2次試験に必要な知識を、簡潔にまとめられており、僕はそれをA5サイズの紙にコピーして、電車やトイレなど常に持ち歩いてました。
わからない論点は、再度一次試験のテキストに戻ったり、調べたりしてみてくださいね。
ここでしっかり知識を身に付けることが、合格への近道です。
文章構成力が不足している方へ
対して、複数年の受験生などで、基礎知識はバッチリという方へ。
因果関係が逆だったり主語述語が曖昧など、知識はあるのだが、それをうまく答案で表現できない方です。
きっと理解はしているのは答案から伝わるが、キーワードの羅列で具体性に乏しい答案です。
この文章構成力が足りていない方は、反復練習で合格水準までは達すると思います。
2次試験を解き、それを採点およびフィードバックしてもらう。この繰り返しです。
点数で一喜一憂するのではなく、「どうやったらもっと上手く加点要素を盛り込め、説得力を増す答案にできたか」という観点で、振り返りを重ねてみてください。
2次試験の予備校と選び方
最後によく聞かれるので、2次試験対策の予備校について紹介します。
2次試験対策の予備校の選び方
必ず授業を体験すること
まず選び方ですが、大事なのは実際に体験することです。
多くの予備校は、体験講座を開いています。
そこに必ず参加し、2次試験問題の解説を聞いてみて、自分自身に納得感があるかを確認してください。
僕は2次試験の予備校を選んだ際、3社(TAC/TBC/AAS)の講義を聞いて選びました。
選ばなかった2社(TAC/AAS)の講義を聞いた感想は、
- その解答って、なんかズレてない?
- どうやってもその解答は思いつかないし出てこなくない?
という印象をうけました。
そうではなく、ストンと腹落ちするような予備校を選ぶことが大切です。
正解が公表されてない2次試験ですから、予備校によって、解答も様々です。
自分自身が腹落ちできない予備校だと、受験終盤になっても、信じ切って勉強するのが難しくなります。
こればかりは相性もあるので、実際に体験して、納得の行く選択をしてみてくださいね。
周囲の受験生のレベルも要チェック
どうしても集合の授業の場合、生徒のレベルに合わせた授業になります。
そのため、体験授業の際に、周囲のレベルも合わせてチェックしてみましょう。
周囲のレベルが低すぎても高すぎても、自分にとってストレスになります。
切磋琢磨できる仲間がいるかも大事なポイントです。
2次試験対策の予備校
すべての予備校を体験したわけではありませんが、有名どころの予備校をリストアップしておきます。
TAC
コース・料金 | 中小企業診断士|資格の学校TAC[タック]
最大手ですね。
個人的には形式的な解説が肌に合わず、選びませんでした。
「その解答はどうやっても出てこないのでは・・?」と思う解答解説が多くて、納得感がなかったんですよね。
TBC
TBC受験研究会
https://www.tbcg.co.jp/
僕が選び合格した予備校です。イチオシです。
DVD通信だけでしたので、価格的にも良心的でした。
なによりYou Tubeに無料動画が上がっているので、「速修2次テキスト」で事前に相性を確認できたのが大きかったです。
EBA
EBA – 過去問や再現答案等の様々データ分析に基づき、中小企業診断士試験合格に向けたカリキュラムで合格へ導きます。
TwitterでよくEBA受験生の方をお見かけします。
毎日100字訓練という2次試験の解答作成の訓練を行なっているそうです。
MMC
2次試験対策に定評のあるMMCです。
模擬試験の答案アドバイスや財務対策にも力をいれているようです。
AAS
体験にだけ行かせていただきましたが、周囲のレベルが低く感じてしまい、入会をやめました。
ただ講師の方はわかりやすかったですし、僕の勝手な印象です。
資格の大原
大手の資格の大原です。
簿記講座など強いイメージがあり、診断士でも資格の大原で合格した人はチラホラ聞きます。
TAC同様に大手の安心感と、実績が伴っている印象があります。
スタディング
「スタディング 中小企業診断士講座
https://studying.jp/shindanshi/
最近診断士仲間でも、スタディングで受かった人が増えてきた印象です。
調べてみたところ、元々中小企業診断士専門の予備校で、そこから様々な資格に広げていったようです。
魅力的なのは価格と、スマホでスキマ時間で勉強できる点でしょう。
授業の無料体験も、オンラインでできるので、一度チェックしてもよさそうです。
LEC東京リーガルマインド
こちらも大手です。
ただあまり中小企業診断士に強いイメージはないですね(誤解でしたらすみません)
アガルート
中小企業診断士試験の通信講座・予備校|アガルートアカデミー
https://www.agaroot.jp/shindanshi/
司法試験等の法律系の難関国家資格を得意なイメージですが、中小企業診断士での近年実績が出ているようです。
倍速再生(8段階速度調整,かつ最大3倍速)ができると、学習効率がかなり上がるので、その点ではおすすめです。
予備校まとめ
僕がもし受験生の立場に戻るのであれば、
- 有名大手である、TACと資格の大原 をまず受けてみて、
- 中小企業診断士に強いと言われてる、TBC受験研究会やEBA をチェックして、
- 最後にオンラインで合格を伸ばしている スタディング を見てみるかなと思います。
選び方で書いた通り、2次試験対策はかなり予備校によって差があります。
そのため自分が納得感を持てる予備校の解説に巡り合うのが、何よりも大切です。
今回の記事のまとめ
以上、本記事では、中小企業診断士の2次試験の結果が、望んだ結果にならなかった方に書いてきました。
今回の内容を要約すると、以下です。
この記事のポイント
- 次回の試験を目指す前に、中小企業診断士を目指す目的を考えましょう
- 1次試験対策は、過去問でOK!暗記科目だけは最新知識にアップデートしよう
- 2次試験対策は、まずは現状の能力を冷静に分析しよう
- 知識は2次試験に使えるレベルまできちんとインプットしよう
- 文章構成力は答案作成を繰り返し振り返って上げていこう
- 予備校選びは実際の解説授業を体験して選ぼう
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